No. 01
109メートル——本能寺の炎
南蛮寺は、本能寺の真西にあった。現代の地図で測ると、直線距離わずか109メートル。人の顔が識別できるほどの至近距離。
1582年6月2日未明、オルガンティノは銃声で目を覚ました。窓から見える景色が赤く染まっていく。本能寺が焼け落ちていく。炎の中から、信長の絶叫が聞こえたかもしれない(史料には記録されていないが、それほどの近さだった)。
明智軍の兵が南蛮寺の近くを走り回るのも、オルガンティノは見ていたはずだ。戦闘が終わった後、一部始終を本国に報告する書簡を書いた——後にイエズス会の史料として残る。
歴史上最も生々しい「第三者の目」による本能寺の変の記録は、この109メートルの窓から生まれた。