No. 01
父・道三の短刀——「信長が愚者なら刺せ」
濃姫の嫁入り時、父・斎藤道三が短刀を持たせたという逸話がある。「この刀は婿のためのものじゃ。信長が道を誤ったなら、これでお前が終わらせるのだ」。
これに対し、濃姫は冷ややかにこう返したと伝わる:「もしこの刀で父上を刺すことになるやもしれませぬ」。
信長が「大うつけ」でなければ、この刀は逆に父・道三に向かうかもしれない——機知に富んだ切り返し。若き帰蝶の知性が光る瞬間だ。
ただし、この逸話は後世の軍記物の創作である可能性が高い。史料的裏付けはない。しかし、戦国の女性のイメージとして語り継がれてきたこと自体に意味がある。濃姫は、そのような気概を持つ女性として想像されてきたのだ。