REQUIEM
REQUIEM/People/おりょう(ならさき りょう)
お龍(楢崎龍)の写真
明治時代

幕末 · 坂本龍馬の内縁の妻 → 維新後、独り身で各地を転々

龍馬の妻

お龍(楢崎龍)

おりょう(ならさき りょう)

京都の医者の娘から、坂本龍馬の妻へ——寺田屋で裸のまま駆け上がって夫の命を救い、薩摩で日本初の新婚旅行をした女性。龍馬の死後、彼女は独り、65年の波乱の人生を生き抜いた。

Summary · 概要

どんな人だったか

お龍(本名・楢崎龍)は、京都の医師・楢崎将作の娘として生まれた。父が政治運動に関わって獄死すると、一家は困窮。お龍は妹たちを守るため、旅館・扇岩の女中として働いていた。

そこで坂本龍馬と出会う。気丈で機転の利くお龍に、龍馬は惹かれた。二人は内縁関係となり、1866年の寺田屋事件では、お龍が入浴中に襲撃者を察知。裸のまま階段を駆け上がって龍馬に危機を告げた逸話は、日本史上最もドラマチックな夫婦愛の物語として語り継がれる。

寺田屋事件後、二人は薩摩へ湯治旅行——日本初の新婚旅行とされる。しかし1867年11月15日、龍馬が近江屋で暗殺されたとき、お龍は伏見の寺田屋に滞在中だった。夫の最期に立ち会えなかった妻は、以後、龍馬の遺志を抱きながら65年の人生を生き抜いた。

Life Timeline · 生涯の道のり

お龍(楢崎龍)
年代で追う

  1. 1841年0歳

    京都・柳馬場の医師の娘として誕生

    京都の漢方医・楢崎将作の長女として生まれる。本名は龍(りょう)。父は医業の傍ら、勤王派志士たちと交流があった教養人。

  2. 1859年18歳

    父・楢崎将作の獄死

    父が安政の大獄に連座して捕らえられ、獄中で死去。母と妹たちが取り残された楢崎家は困窮。お龍は実質的な「女家長」となる。

  3. 1860年代前半20代前半

    妹を取り戻す奮闘

    貧窮から売られた妹を取り戻すため、お龍は自ら妹を売った相手のもとに乗り込み、取り返してきた。大胆で気丈な性格がここに現れる。

  4. 1864年頃23歳

    京都・扇岩で坂本龍馬と出会う

    京都・伏見の旅館「扇岩」の女中として働いていたお龍は、そこに宿泊した坂本龍馬と出会う。お龍の気性を龍馬が深く愛し、以後、内縁関係となった。

  5. 1866年1月23日25歳

    寺田屋事件——裸で駆け上がって救命

    薩長同盟締結直後、龍馬が伏見の寺田屋に宿泊していた夜、幕府捕り方が襲撃。入浴中だったお龍が察知し、裸のまま2階に駆け上がって龍馬に危機を告げ、龍馬の命を救った。

  6. 1866年春25歳

    薩摩・霧島への湯治旅行——日本初の新婚旅行

    寺田屋事件の傷を癒やすため、西郷隆盛の手配で薩摩の霧島に湯治旅行。お龍と龍馬は霧島の高千穂峰に登った。これが日本初の新婚旅行として知られる。

  7. 1867年11月15日26歳

    近江屋事件——伏見の寺田屋で報に接する

    龍馬が近江屋で暗殺される。お龍はこの時、伏見の寺田屋にいた。夫の最期には立ち会えず、報を受けてからの悲嘆は想像を絶する。

  8. 1867年末〜1868年26-27

    龍馬死後、土佐に赴く

    龍馬の故郷・土佐の坂本家を頼って移る。だが坂本家とは折り合わず、居場所を失う。正式な婚姻ではなく「内縁の妻」だった立場の弱さが響いた。

  9. 1875年頃34歳

    西村松兵衛と再婚、横須賀へ

    商人・西村松兵衛と再婚し、横須賀に移り住む。だが再婚後も、お龍は「坂本龍馬の妻」という自意識を捨てなかった。

  10. 1890年代50代

    龍馬ブームで取材を受ける

    明治になって龍馬の名声が高まると、お龍のもとにも新聞記者が訪れるように。だが、お龍の証言は鋭いものもあれば、時系列が混乱したものもあった。

  11. 1906年1月15日65歳

    横須賀で没す

    晩年は貧しく、酒に親しんだという。横須賀の粗末な家で、65歳の波乱の生涯を閉じた。墓は横須賀にある。

Personality · 人物像

どんな人柄だったか

お龍の人物像を一言で表すなら「気丈で型破り」だ。幕末京都という動乱の時代に、父を失った貧窮の中で妹を守り、自力で生き抜いた女性。伝統的な「大和撫子」像とは正反対の、強く意志的な存在だった。

龍馬が惚れ込んだのは、この気性だったという。寺田屋で裸のまま駆け上がる大胆さ、妹を売った相手に一人で乗り込む気迫。こうした「現代的な強さ」を持つ女性は、当時の日本では稀有だった。龍馬は自由な思考の持ち主だったから、お龍の強さを喜んだ。

しかし、龍馬の死後、お龍の生活は苦しかった。内縁の妻という曖昧な立場、龍馬の遺産はほとんど受け取れず、土佐の坂本家とも疎遠に。再婚しても龍馬への想いを断ち切れない——その葛藤が、晩年の酒とともにあったと伝わる。

Anecdotes · 逸話

語り継がれる場面

No. 01

寺田屋事件——裸で駆け上がる

1866年1月23日深夜。薩長同盟を結んだばかりの龍馬は、伏見の寺田屋に身を隠していた。

お龍は1階の浴室で入浴中だった。窓越しに、捕り方の一団が建物を包囲する気配を察した。

通常なら、まず着物を着てから逃げる。だがお龍は違った。濡れたまま、何も身にまとわず、階段を駆け上がった。裸で、である。

「龍馬さん、捕り方です!」

龍馬は短銃と刀で応戦。数名の捕り方を撃ち、負傷しながらも脱出に成功した。お龍の一瞬の判断がなければ、龍馬は寺田屋で命を落としていた。

この「裸で駆け上がる」逸話は、日本人の集合的記憶に「最も生々しい夫婦愛」として刻まれた。近代の絵画・小説・映画で繰り返し描かれる名シーン。その恥も外聞もない必死さが、時代を超えて人々の心を打ち続ける。

No. 02

霧島・高千穂峰——日本初の新婚旅行

寺田屋事件で龍馬が負傷した後、療養を兼ねて薩摩へ向かう。西郷隆盛の手配で、お龍と龍馬は霧島の山々に湯治旅行に出た。

1866年春、二人は霧島の高千穂峰(たかちほのみね)に登った。日本神話の舞台とされる山。伝説では、ここに天孫降臨の「天の逆鉾(あめのさかほこ)」が突き立てられている。

龍馬は、その逆鉾を——引き抜いて持ち帰ろうとした。神聖な霊具を、である。伝わる逸話によれば、龍馬は「こんな鉄の棒、大したことない」と引き抜いた(実際には途中でやめた)。

お龍はその姿を見て笑った。「龍馬さんは、神様にも遠慮しない人じゃ」。

この逸話は、日本初の新婚旅行として記録される。愛し合う二人が、神話の山で悪戯をする——近代以前の日本では、極めて自由で型破りな時間だった。

No. 03

近江屋事件の夜——伏見にて

1867年11月15日。龍馬が近江屋で斬られたとき、お龍は伏見の寺田屋にいた。

なぜ龍馬は、お龍を伏見に残したのか?諸説ある: - 近江屋は「短期の滞在地」のつもりで、お龍を呼ぶ必要がなかった - 身辺が危険で、お龍を安全な場所に置いた - 新政府構想の密議に、女性は同席させない慣習だった

いずれにせよ、龍馬の最期にお龍は立ち会えなかった。報せを受けたのは翌日、あるいは翌々日とされる。

お龍の悲嘆は、記録としてほとんど残っていない。だが後年、お龍は「龍馬の最期を看取れなかったのが、一生の悔い」と語ったと伝わる。

寺田屋で命を救った妻が、近江屋では守れなかった。偶然の不在が、お龍の人生に深い影を落とし続けた。

No. 04

「最後の手紙」の謎

龍馬が死の直前に、お龍に宛てて手紙を書いたという伝承がある。「もし何かあれば、この手紙を開け」——封をしたまま、お龍に託された。

近江屋事件の報を聞いた後、お龍は手紙を開けたとされる。内容は?

諸説: - 「世界の海を共に巡ろう」という新婚旅行の約束の続き - 「我が身に危険が迫る」という予言的な警告 - 「お龍を愛した」という愛の告白 - そもそもそんな手紙は存在せず、後世の創作

確かな史料はない。だが、REQUIEM Vol.2ではお龍役のプレイヤーに「最後の手紙」が託される。開くか、封じたままにするか——その選択が、プレイ体験に深い意味を与える。

愛する者の最期の言葉を読む権利は、妻だけのもの。だが、読んだからといって、死者が蘇るわけではない——お龍の人生は、この問いと共にあった。

Relationships · 関わった人々

人は、人との関係で動く

坂本龍馬

内縁の夫・生涯の恋人

扇岩の女中だったお龍を見初めた龍馬。寺田屋で命を救われた恩と、お龍の気性への深い愛情。近江屋の夜には、お龍は側にいなかった。

詳しく

楢崎将作

父・京都の漢方医

安政の大獄に連座して獄死した父。お龍の反骨精神は、この父の政治思想を引き継いでいたとも言える。

西郷隆盛

薩摩での恩人

霧島への湯治旅行を手配してくれた薩摩の実力者。龍馬の盟友として、お龍にも親切だった。

詳しく

坂本乙女

義姉(龍馬の姉)

土佐の坂本家で龍馬を育てた姉。龍馬の死後、お龍は乙女と手紙を交わしたが、土佐での生活は折り合いがつかなかった。

西村松兵衛

再婚相手

横須賀の商人。龍馬の死後、お龍が再婚した相手。だがお龍は最後まで「龍馬の妻」という自意識を手放さなかった。

Related Cases · 関わる事件

REQUIEMでお龍(楢崎龍)に会う

Further Reading · もっと知る

学びを深める参考資料

ここで紹介する本をきっかけに、お龍(楢崎龍)の世界をさらに深く訪ねてみてください。

  • 01

    おりょう 坂本龍馬の妻

    鈴木かほる · 書籍

    お龍の生涯を丁寧に追った決定版評伝。龍馬の影ではなく、一人の女性としての姿を描く。

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  • 02

    龍馬の妻お龍の生涯

    関民子 · 書籍

    お龍の証言と晩年の生活を詳述。内縁の妻という立場の厳しさが伝わる。

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  • 03

    龍馬が惚れた女たち

    一坂太郎 · 書籍

    龍馬を愛した女性たち——お龍、千葉佐那、平井加尾——の生涯を対比。

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Image Credit · 画像出典

お龍・肖像写真·明治時代·Public Domain·Wikimedia Commons